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VR機器を普及させるために2022年にやるべきことは?現場の最前線にいる方々に聞いてみました。

クリエイターズスペース12th_VR機器を普及させるためには

こんにちは。「クリエイターズスペース」という、クリエイターのためのトークイベントを開いているBUSSAN(ぶっさん)と言います。このページを開いて下さった方は、恐らくVR機器に興味がある、もしくはVR機器を既に持っている方かと思います。この記事はそういった方を対象に書かれています。
2020年にQuest2が発売され、2021年にFacebookが社名をMetaに変更し、VR業界はいまだかつてない盛り上がりを見せているように見えます。しかしながら、2022年現在の日本では、僕個人の主観としてはまだ「VR機器は普及した」とは言えない状況だと感じています。ゲームといえばやはりテレビ画面に映すものが主流であり、VR機器を被っている様子は、珍しく感じる人が多いのではないでしょうか。

しかし、僕たちVR機器ユーザーは、このVR機器を被った先に見える景色、そのコンテンツが素晴らしいものだと知っています。できれば多くの人にこの魅力に気づいてもらい、VR機器を手に取って、その景色を共有したい…と思っている人もいるはずです。では2022年、今年僕たちはVR機器を普及させるためにやるべきことは…?というのが今回のこの記事のテーマです。

※この記事は、1月22日に開かれたクリエイターズスペース12thというトークイベントの内容を文字に起こして記事化したものとなります。
※一部トーク内容を読みやすくする目的で、内容をカットしている部分があります。

記事化の経緯

クリエイターズスペースでは、毎回様々なものづくりの現場の第一人者の方を招待しトークを行ってきましたが、今回は「VRの現場」の最前線に携わっている方々を招待させて頂きました。

Twitterスペースという限られた場でのトークイベントだったにもかかわらず、多くの方に視聴いただき、タイムライン上でハッシュタグを付けたツイートにより多くの感想や意見が交わされる様子を目の当たりにし、「これは記事に残さねば…」と思い、今回イベントの内容を記事化させて頂きました。

スペース中にお見せ出来なかった参考資料や画像、動画なども含めてより濃いコンテンツにできればと思っておりますので、是非お時間ある方は読んで頂けたら嬉しいです。

 

登壇スピーカーの皆様

クリエイターズスペース12(出演の皆様)

岸上健人さん(MyDearest inc. CEO)
MyDearest.inc/HP:https://mydearestvr.com/
Twitter:tokimekishiken

桜咲さん(第5期VIVEアンバサダー&VR文化アンバサダー)
Twitter:oishicookieman

和蓮和尚さん(Shiftallの中の人・VRC本とかも書いてる人)
Shiftall.inc/HP:https://ja.shiftall.net/
Twitter:warenosyo

タカオミさん( #VRChatワールド探索部:部長)
note:VRChatワールド探索部マガジン
Twitter:takamin_

篠田利隆さん(映像監督・サンリオバーチャルフェス総合演出)
異次元TOKYO/HP:https://ijigen.tokyo/
Twitter:dshino

 

VR機器に興味はある、けど買えていない理由は…?


クリエイターズスペースの前に、VR機器を持っていない方に対してアンケートを取ってみました。その結果、下記のような結果となりました。

Q.あなたがVR機器に抱くイメージで一番近いものを教えて下さい。

  • 金額が高い/安くなれば欲しい:50.3%
  • 遊びたいゲームがない/遊べるゲームが増えてほしい:15.8%
  • 何ができるのかいまいちイメージしにくい:22.8%
  • その他:11.1%

 

ハード開発の視点から見た「価格」について

ぶっさん
ぶっさん
事前にアンケートをとってみたところ、半分の方が「金額が高い、安くなれば欲しい」という投票をされている事がわかりました…。まず最初に、個人的に僕の感想を述べると…2番目に多いのが「何ができるのかいまいちイメージしにくい」となっている部分に注目すべきではと考えてまして、こうした方々がVR機器を被った先に見える景色や、どんな事ができるのかをより具体的にイメージできるようにしてあげれば、結構な数の方が購入に至るのでは?と考えています。皆さんはいかがでしょうか?
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
ものをつくっている側として少しお話したいのですが、Shiftallという会社では、HMDも作っていまして。1月にはPanasonicと一緒に作った「MeganeX(メガーヌエックス)」というHMD(VR機器)を発表したりしたんですが、ものづくりをしている立場として少しコメントをすると…世の中の人は、最後の最後までずっと「高い」と言い続けます。Quest2のアメリカでの価格は299ドル、そしてニンテンドースイッチの価格も299ドルですから、今VR機器はニンテンドースイッチと同じ価格帯で売られていると言えます。これは果たして高いと言えるのか?と感じる訳です。だってみんなニンテンドースイッチ買ってるじゃないですか?子どもが「欲しい!」と言えば買ってあげれるくらいの価格帯ではあるわけですから。小学生、みんなニンテンドースイッチ持ってますよね?ということで、値段が高いという声は一旦置いといて、他の議論をするのがポジティブかなぁと僕は考えていて。「遊びたいゲームがない」とか「イメージしにくい」とか、この辺を掘っていくと面白いのかなと思います。
ぶっさん
ぶっさん
ありがとうございます。僕も同じ意見です。やはりハードを作っているShiftallさんがそう仰るなら間違いないと思います。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
考えて下さいよ、車だって安い車でも新車で100万以上はするけど、高いとは言わないじゃないですか?中古車でも30万円とかはしますけど、高い、とは言わないと思うんです。あともう1つ言えるのは、「みんな持ってるから買う」んですよね。逆に言うと、「みんな持ってないから買わない」と。
ぶっさん
ぶっさん
そうですね、日本人をVRに誘うには「みんなVRやってるよ?」と伝えるが手っ取り早い気もしますよね。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
「遅れてるよ?」とかね。これはちょっと面白いんですが、ビジネスサイドにいらっしゃる方々が「遅れていられない!」と皆Quest2を買うんですが、アンケートの3つ目にある「何ができるかわからない…」と言ってるんですよね。買ったあとに何をしていいか分からないという。

 

VRコンテンツの魅力をどう伝えていくか

イベント開催の視点での「コンテンツ」のお話

ぶっさん
ぶっさん
VR機器を被るとどんな事ができるのか、その先に見える景色をイメージできるようにする事が大事だと思っていまして、例えを1つ挙げると、2021年12月に行われたサンリオバーチャルフェスですが、あれは絶対VRで見て頂きたいじゃないですか?
篠田利隆さん
篠田利隆さん
僕は個人的には、サンリオバーチャルフェスはVRで見て欲しい、というかPCVR以外では来ないで欲しいと思っているくらいです(笑)ケータイで見て下さった方もいらっしゃるとは思うんですが、演出が空間的な事を考えたものばかりだったので、ケータイで見ても良さが伝わりにくいと思う部分が正直なところあります。やっぱりVR空間に入って見る方が確実に面白いイベントだったなと思います。今回やってみてわかったのは、「アーティストが好きだからVR機器を揃えて見に行く」という人はほぼ居なかったという印象でした。議論しても仕方ない話なのかもしれないですが、やはり「高い」となっちゃうと思うんですよね。実は今回、VR機器レンタルの会社さんが協力してくれてまして、もうちょっとレンタルが盛んになれば「イベントだけはVRで入ってみよう」という方も増えてくると思うんですね。そのままハマってしまえば値段などは気にならなくなると思いますし。実際僕も最初は機材にあまり気を使っていなかったんですが、GHOSTCLUBとかに行くようになって、「スムーズに踊りたい…!」みたいな想いが出てきて。それこそHaritoraX(ハリトラックス)も買わせて頂いて…。だから、ハマってしまえば早いと思うんですね。今後も多分こういうイベントをやっていく事になりそうなんで、そういう入り口のところをうまく考えて行きたいなと。
篠田利隆さん
篠田利隆さん
さっきのメタバースという話でいくと、ケータイで入れますという間口の広げかたでビジネスをしてる人の気持ちも分かるんですが、とにかく最高に面白い体験してもらうにはやはりVR機器で入ってもらいたいんで、VRで入りやすい間口の広げ方という意味ではレンタルはいいなと思いましたね。あとはイベントとセットにして価格を下げるとか。そういう事をより強くやっていきたいと思いました。
ぶっさん
ぶっさん
今の篠田さんのご意見で、「イベントとセット」でのVR機器の提供を狙う、というお話もあったんですが、個人的な意見では、メタバースプラットフォームがサブスクでVR機器を提供する、みたいな事も面白いのかなと思っていまして…。たとえばVRChatだったら月1,000円で課金プランがある訳ですが、もう1,000円プラスするとQuest2がレンタル出来る、みたいな。一度に4万円近くの負担は大きく感じても、月額2,000円くらいだったらレンタルしてくれる人もいるかもしれない、など。

 

VRコンシューマータイトルとしての「コンテンツ」のお話

ぶっさん
ぶっさん
コンテンツ的なお話になってきたのですが、例えばVRのコンシューマータイトルという部分で考えると一番最初に名前が挙がる会社がMyDearestさんであり、ゲームタイトルとしてはアルトデウスだと思います。VR機器で遊んでもらうという事がやはりVRコンテンツを楽しむ上では必須条件になってくると思うのですが、例えば岸上さんとしてはどのようにお考えでしょうか?
岸上健人さん
岸上健人さん
ありがとうございます。これはアルトデウスというタイトルに限らずなんですが、あえてVR以外の所でIP展開をしようとしている節もあるんです。例えば、2月からYouTube漫画動画みたいな事も始めるんですが、なんでやってるかというと、いつかVRに入ってほしいから、予備軍を作りたいんですよね。で、調べてみたら「VRでもやってるんだ」と興味を持ってほしくて。今はQuest2とかが税込37,000円くらいで、より好きな人はプレイステーションVRとか、PCVRの「HTC VIVE」とか「Valve Index」とかいろいろあると思うんですが、そこにまずは予備軍を作りたいなっていう思いでやってます。「東京クロノス」が果たした役割って結構そういうところがあって。結構「タイトルだけは知ってる」という方が多いんですよね。まあ覚えやすいタイトル、というのもあるんですが。この作品はOculusGOの時に発売したんですが、OculusGOって当時199ドル、つまり2万円ぐらいなんです。あの時ってFacebook的にはビックリするぐらい日本でOculusGOが売れたらしいんですよ。だから2万円台前半とかになると、手に入れやすいんだろうなって思いました。なのでその価格帯だったら普及すると思ったのと、いつかVR機器がその価格帯になると踏んだ上で今、種をまいておきたいな、みたいな感じですね。
ぶっさん
ぶっさん
なるほど!ありがとうございます。

 

VR機器をコミュニケーションの主題にする

タカオミさん
タカオミさん
1点思う事がありまして、ちょっと言い方は悪いかもしれないけど、僕は「プロパガンダ」が大事だと思っています。普及のためにはまず、VRが友達とのコミュニケーションにおいて必須のものにならないといけないと思うんです。例えばオンラインゲームの「Apex Legends」とかって、それ自体が面白いというより、どちらかと言うと友達と会話するためのツールとして遊んでいる人が多いと思うんですよね。つまりあれはゲームというよりコミュニケーションツールなんです。VRもそうなればいいなと思っていて、VRChatに今いるユーザーはソーシャルVR上で新しく友達を作っている人が多いと思うけど、より普及させることを考えると、リアルの友達とコミュニケーションするためにVRChatに行くという状態にしたい。友達との会話に入るためにVRが必要、という状況になれば、みんなVRデバイスを買うようになる。Apexのために4万円くらい出してPS4とか買っているわけですから、そうなれば価格はさほど問題にはならないと思います。
タカオミさん
タカオミさん
じゃあ、そこまで行くにはどうすればいいのか?って話なんですが、例えばこないだのサンリオVフェスで、1日目のキヌさんのライブを見た人が衝撃を受けて、Twitterに「VRで見れて良かった」とか「これはVRで見るべき」という感想を次々に投稿していました。その結果、2日目のキヌさんのライブの観客が大幅に増えたという現象がありました。そういったツイートによってVR機器の購入を検討したり、もし次にキヌさんのライブがあったらVRで見に行こうと思った人も結構多いと思うんですよね。なので、我々VRユーザーや、VRを普及させようと思っている人がやるべきことは、
「マジでVR楽しい」とか「これはVRでしか体験できないコンテンツだ」といったことをひたすら言い続けること。

タカオミさん
タカオミさん
さっきBUSSANが仰ってましたが、VRの魅力を実際に被ってもらう以外の方法で説明するのはとても難しいので、我々がいかにVRというものを心から楽しんでいるか、そしてそれはVRなしでは決して味わえないものなんだと言い続けることが必要なのかなと思います。そういった発信を見て興味を持った人がどんどん入ってきて、「VRのコンテンツ」が会話の主題になり、いずれはVRがコミュニケーションに必須のツールになる。なので、篠田さんの今後のイベントや、MyDearestさんの新作もとても楽しみだし、そういったVRでしか味わえないコンテンツやその魅力をひたすら地道に発信していくべきなのかなと感じてます。
ぶっさん
ぶっさん
ありがとうございます。タカオミさんが仰った事は本当に僕も同意見でして、僕ら自身が楽しいものなんだ、という声を広げていくべきで、これって誰でもできる事だと思うんですよね。ツイートとして呟くだけでも大丈夫ですし、スクリーンショットを投稿してもいいし、出来るなら動画撮って投稿してもいいし、みたいな。見えている景色を共有することが大事なのかなと思いました。そういう話題でいくと、タカオミさんがワールド探索の記事を作られていると思うのですが、そういった活動がすごく大事というか、あれを見て、「やってみよ…!」と思う方って結構いると思うんですよね。
タカオミさん
タカオミさん
そうですね、探索部の記事も、VRChatやVRをやっていない人でも読めるように意識しています。限界はありますが(笑)
ぶっさん
ぶっさん
本当に素晴らしい記事をいつもありがとうございます。
篠田利隆さん
篠田利隆さん
あれ見てめっちゃワールド行きますもんね。
タカオミさん
タカオミさん
嬉しいです!ありがとうございます!

 

VR機器を買った人は何が決め手だったのか?

Q.あなたが、VR機器を買った(手に入れた)きっかけを教えてください。

  • 遊びたいゲーム/コンテンツがあった:54.6%
  • 一緒に遊びたい/会いたい人がいた:16.1%
  • VR空間で実現したい事があった:21.4%
  • その他:7.9%
ぶっさん
ぶっさん
VR機器を持っている人へのアンケートの結果を見ると、半分以上の人が、「やりたいゲームがあった」と答えています。先ほどのVR機器を持っていない方へのアンケートと見比べると、大きな違いがあるように感じます。VR機器を持っていない人は「何ができるのかイメージできていない」のに対し、買った人は「やりたい事があった」と回答しています。これは買った人はどんなことができるのかイメージできたので購入に至った、とも言えるのでは?と感じていまして、例えば桜咲さんは、どんな理由でVR機器を買おうと思いましたか?

VRの魅力の一つ「身体投射性」とは?

桜咲さん
桜咲さん
私はもともとVRChatからVRに入ったので、周りが既にVR機器を持っていて。例えば「手を使いたい」と思ったり…!そこからですね。
ぶっさん
ぶっさん
なるほど!「手を使いたい」というのはVRならではですよね。デスクトップだと手が使えないですもんね。
桜咲さん
桜咲さん
そうですね。デスクトップだと手が動かないので、「バイバイ」みたいな手を振るジェスチャーができなくて。そういう「手を振る」みたいな事はやりたくなりましたね!あと、周りのフレンドさんが「パーティクルライブ」が好きだったんですが、そういった「パーティクルライブ」を空間で見たい、と思って、VR機器が本当に欲しくなって買ってしまいました(笑)あとは私もVTuberなので、体を動かしたいとか、自分のアバターを持ちたいとか、そういう意欲も強くなって…!どんどんハマっていきましたよね(笑)
ぶっさん
ぶっさん
VR機器ユーザーの方の傾向として、最初はVR機器単体で買うと思うんですよ。そのうちゲーミングPCを購入して、そのうちフルトラ用の機器を購入して全身が動くようになって…という順番で、だんだんできる事が増えて行くイメージがあります。それでいうと、先ほど咲さんが仰った、「手を動かしたい」という言葉って、「VRの魅力に気づいた人」じゃないと出てこないと思うんです。「ゴーグルを被ると何が見えるのか」という部分を気にすると思うんですが、実はそれよりも「手が動く」とか身体的な体験が面白かったりしますよね?Quest2だったら手と頭が動くようになり、HaritoraX(ハリトラックス)があれば足が動くようになるという。そこが伝わっていくともっといいのかなと思ったりしました。

和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
結局、この空間の中で何ができるのかが伝わってしまえばより良いのかなと思ってまして、例えば手が大事とか体が大事という、よく私の場合「身体投射性」という言葉を使うんですが、この空間の中で自分の体が思い通りに動くのがすごく気持ちよくて、それがあるからこそ深いコミュニケーションができて、より深いコンテンツ、例えばサンリオバーチャルフェスのような楽しみ方ができるわけじゃないですか。その「身体投射性」が大事なんだ、という部分はさっき篠田さんが仰ったように、「一回体験してみないとわからない」というのがVRの難しいところでしょうね。だから僕は先ほどの篠田さんの「レンタル」という意見にすごく賛成でして。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
例えば家庭にはじめてビデオデッキが導入される前って、映画を見るには映画館に行くしかなかったわけですよね。そして映画館ができる前は、劇を見に行くしかなかったと思うんです。本当は劇を見に行くってお金もかかるし、足を運ばなきゃいけない、でもその体験が家庭でもできます、なのでテレビとビデオデッキというデバイスを買いましょう、という事だと思うんですよね。例えばゲームセンターとプレイステーションの関係のような。あのゲーセンの楽しさを家でも体験できる!みたいな。VRでもそういう一歩目があるといいのかもしれませんね。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
例えばですが、IMAXの映画を見る事と、VRの中でパーティクルライブを見る体験って、ぜんっぜん違う体験じゃないですか?
篠田利隆さん
篠田利隆さん
ええ、全然違いますね。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
ただ、それが本で見たり、他人から聞いたりすると同じに聞こえちゃうっていうのが課題だと思うんです。なので僕は、いいから来い!っていつも言ってるんですが(笑)来ないとわからない、というのが一番の課題でもあり、一番解決どころのある設問な気がしますね。

 

zoom飲みよりもVR飲みの方が面白いのはなぜか?

VR飲みはなぜ楽しいのか
(以前クリエイターズスペースを開催したメンバーでVR飲みをする様子)

ぶっさん
ぶっさん
岸上さんにも詳しくお話を伺いたいと思っているのですが、先ほど話題に上がった「身体性」とか「体験」という話題では、アルトデウス本編のシナリオ中でプレイヤーがヒロインと手を繋ぐことができるシーンがあるんですよ。これは従来のゲームでは絶対に出来なかった事だと思っていて。これだけでめちゃくちゃ感動したんですよね。そういった「体験」に対して、コンテンツを作る上でかなり注力していると思うんですが、このあたりのお話を詳しくお伺いできないでしょうか?
岸上健人さん
岸上健人さん
まさにBUSSANの仰る通りで、手を握れる、という体験は確かに凄いと思っています。よく言うんですけど、コロナ禍になって、zoomミーティングをやたらやらされるじゃないですか?で、画面の向こうの相手にVRを説明するのってとても難しいんですよね。本当によく苦戦するんですが…その時によく言うのが「zoomミーテイングしているあなたと私って、目は合ってないですよね?」という話をするんですよ。で、それに対して、この世にある”現実以外で目を合わせる事が出来るメディア”ってVRしかないんですよね。「VR空間上でキャラクターと目が合ったりとか、「アバターを通してあなたと私は目を合わせる事ができる」っていう話をよくするんですよね。その延長上に「手を握れる」もあると思って。そこに本当に存在していて、コミュニケーションが取れるというという感覚、例えばzoom飲みってあまり面白くないじゃないですか?ただ、VR飲みはめちゃくちゃ面白くないですか?
篠田利隆さん
篠田利隆さん
面白いですね。
タカオミさん
タカオミさん
確かに。
ぶっさん
ぶっさん
本当にそうですね。
岸上健人さん
岸上健人さん
そう、めちゃくちゃ面白いんですね、VR飲みって。この差だと思うんですよね。この話をすると皆死ぬほど分かってくれるんですよ。zoom飲みは面白くないけどVR飲みはめちゃくちゃ面白い。そこの延長上にキャラクターと触れられる、という体験があって。なので本当にその人がその場に居る感覚っていうのをどうやって出すかという事においてVRというのはその場にいる感覚が本当に出ると思ってるんです。例えば、アメリカのVRゲームってどちらかと言うと「敵を倒す」が多いんですよね。ただ、日本のVRゲームは敵よりもキャラクターや相手とどうコミュニケーションするかというゲームの方が多いと感じていて。ここにはいろんな可能性がすごくあるなと思っていて。こういう文化をどんどん海外に輸出して、外貨を稼がないといけないな、と思ったりもしています。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
これはちょっと脱線するんですが、VR飲みをやったりすると叫んだり大声を出すじゃないですか、なので声を出しても大丈夫な、外に声が漏れない「Mutalk(ミュートーク)」というマイクを作ったんです。見た目があまりにも衝撃的なので、中の人からは絶賛され外の人からはキモいと言われるという(笑)でも過渡期はそういうもんだって思ってます(笑)VR飲みもそういうものですよね。最初は分かってもらえないけど、やってみるとすごく面白いんで、徐々に徐々に人が入ってきているという。

岸上健人さん
岸上健人さん
例えば大学生って今コロナ禍で今会えないと思うんですよね。本来は一番飲み会をやる人種だと思っているんですが、僕はそんなにそこに踏み込めなかった人なのでそこに少し憧れがあるんですが、VR飲みが出来るっていう価値観は大学生に実はめちゃくちゃ響くんじゃないかなと勝手ながら思ってるんですよね。だからコロナ禍を通して意外とそういう面を訴求できるのかなと思ってます。
ぶっさん
ぶっさん
大学生、という単語でいくと、本来大学生は友達の家に集まって「宅飲み」をすると思うんです。例えばみんなで集まってモンハンをしながら飲むとか。VRの中だと、そういう友達の部屋に集まる感覚で遊べるのが楽しいと思っていて。そういうところもVR飲みに付随して楽しめるポイントかなと思っています。
岸上健人さん
岸上健人さん
なんか衣食住の、食はまだ表現できてないと思うんですが、VRでは衣と住はすごく強いと思っていて。衣に関してはアバターとして凄く着飾れますし、住に関しては友達の部屋に行くみたいな感覚もあります。それを補足するのが飲み会のような楽しみ方だと思っています。

VRの楽しさを外の人に伝える難しさ

ぶっさん
ぶっさん
あとはどこにでも行ける、というのもVRの面白いところかなと思っていて、例えばタカオミさんであれば、毎週VRChat探索部として、週に1度部活を行っていると思うんですが、毎週1回、1年まわり続けても周りきれないほどのワールドがあるじゃないですか。この魅力を伝えるのって凄く難しかったりしますよね。
タカオミさん
タカオミさん
凄く難しいところなんですが、ちょうどお話しようとも思っていて。さっきもApexの話題を出しましたが、ゲームってもともとオタクが引きこもってやってるイメージがあったじゃないですか。僕もゲーマーなのでまさにそういう人間なんですけど、それが最近は結構市民権を得ているというか、ゲーム配信者などが若者にもウケていて、「ゲーマー」へのイメージが変わった。そういう意味で発信するのはとても大事だと思うんですが、VRをやってて楽しそうな様子とかを発信するのって非常に難しいと思っていて…。VRゴーグルをつけて部屋の中をウロウロしながら「うわー!すげー!」って言ってるのを外から見ても、滑稽(こっけい)でしかないし、例えば「おめがシスターズ」とかはYouTubeでVRChatの配信したりしてますけど、そのあたりは、VRの中身を伝える媒体として、解決されるべき部分なのかなと思います。ここは皆さんにもお話を伺いたい部分ですね。
桜咲さん
桜咲さん
私の場合、しつこいぐらい配信するしかなかったんですよね。伝われ〜!って(笑)私は語彙力がないので…(涙)見て、楽しさか伝わってくれって…!って感じですね。なので、自分の3Dモデルが出来てからはVRChatの配信が多くて。ゲームワールドに行ったりとか。

 

3Dアバターがあるからこそ出来る事

ぶっさん
ぶっさん
ちなみに、Live2Dのアバターから3Dのアバターに変わったときに実感した違いなどはありますか?
桜咲さん
桜咲さん
やっぱり、一番は「自分のオリジナルアバターを持てた」という事が大きいかもしれません。あとはVRC配信をするのにあたって、出来れば面白い事をやりたくて、最近はいろいろな企画とかを考えてるんですが、芸人感が出てきてしまったかもしれません(笑)
ぶっさん
ぶっさん
そうですね、やっぱり「自分の体」があることによって、芸人っぽい事が出来るようになったというのは多分Live2Dと大きな違いだと思っていて。2Dだとどうしても、画面上での動きしか出来ないじゃないですか。しかし3Dだと歩くとか、ジャンプするとか、何かを持って投げるとか、そういう立体的な動きが出来る事によって、他の3Dアバターを持つVTuberさんと絡むことができる、というのはより配信を濃くできるという意味で素晴らしい事だなと思いました。配信者に与える影響は大きいと思いますね。
桜咲さん
桜咲さん
あとはやっぱり自分のアバターだと自信を持てますね。特にワンオフのアバターだと。今までは公認配信とかも応募したくても「改変アバターだしなぁ」と思っていて、気が引けていたんですが、自分のアバターを持ってからは、自信をもって応募できるようになりました。今のVIVEアンバサダーもそれで応募しました。
ぶっさん
ぶっさん
僕も改変アバターを使っている身ではあるんですが、例えば「自分の見た目」を変えれるのはVRの面白いところだなと思いました。どんな景色が見えるのか、という部分に着目しがちなんですが、自分がどんな姿になれるのか、みたいな話って結構見える化しづらいというか。VRのアバターと自分の姿が一致してるところを見せるのって難しいなって思ったり。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
でも僕らおじさん勢として、おじさんに伝えると響きますよ。僕もその一部ですが、外観で「魅力的だ!」と言われる事ってほとんどないでしょ?と。でもVRの中だったらどうにでも出来ると。性転換してもいいし、ロボットになってもいいんだよ、と言うと、意外と年上の人は理解してくれるんですよね。

 

どんな方法でVRの魅力を伝えていく?

本という信頼性のある媒体を活用して底上げ

ぶっさん
ぶっさん
ここまでをまとめると、VR機器は値段が高いと感じている方が多く、何ができるかイメージしにくいらしい…それに対して、VR機器を被ると何が見えるのか、どんなことができて、どんな体験が出来るのかを伝えていくべきなのでは?という形に皆さんの意見が一致しているのかな、と思います。では、どんな方法で魅力を伝えていくと良さそうでしょうか?
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
これはちょっと宣伝するわけではないですが、和蓮和尚的には、本屋に本を置こうと思っています。まるごと1冊VRChatだけの本をまつゆう*さんという方と一緒に出そうとしています。底上げしていこうと。紙の本しか読まない人って結構いっぱい居ると思うんですよね。全部きっちり体系立てて、100ページ以上の内容でしっかり本として伝えるのって結構大事かなと思ってまして。今頑張って本書いてます。もうそろそろ出ます。

ぶっさん
ぶっさん
紙の媒体や出版物ってやはり信頼性があるというか、年代の上の方が重視するところがありますよね。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
そうですね、あとは「本が出るほど話題のものらしい」となりやすいので、底上げをするのに大事かなと!

ユーザー目線の訴求が大事

ぶっさん
ぶっさん
あとは僕の個人的な意見としては、VRの体験をやはり動画や映像として残すのも大事かなと思っていまして。例えば、サンリオバーチャルフェスのキヌさんのライブでは1日目のライブ映像を即編集して、翌日のライブの直前に投稿して頂いたんですが、それによって多くの方が話題にしてくれて2日目の公演に人が集まったというのもあるかなと思っていて、やはり映像として残すのが結構大事なのかなと思いまして。映像の分野として、是非篠田さんにも意見を伺いたいです。例えば、VketのPVなどを篠田さんが監督されていたと思うんですが、あれを見て「面白そう」と思った方は結構いると思うんですよね。

篠田利隆さん
篠田利隆さん
あの映像を作った当時はOculusRiftを持ってたんですが、ずっと埃かぶってたんです。ある仕事でOculusRiftを使って、その仕事が終わった後しまってたんですよね。ただ、ある時にVRの映像でコミケの駅みたいなところに皆で行っているのを見たんです。そこでいろんな人がコミケみたいにブースを出展してると知って実際に行ってみたんです。そしたら同じアバターを着てはしゃぐ人や、色々楽しそうにしてるのを見かけて、それで面白いなと思ってVRChatにハマったんですよね。なのできっかけはVketだったんです。僕はVketの映像を作るときに、「こんなすごいフェスがある」というのを伝えるんじゃなくて、なるべく「VRChatストリート」みたいな、普通に遊んでいる人達の映像とか写真を集めてもらって、ただそれを見せていくのが魅力的に見えるんじゃないですか、ってHIKKYさんに提案したんです。なので、記録されてた過去のVketの映像を繋いだ、というだけにはなるんですが、映像で見ると楽しそうにみえる、という考えには近いのかな、と思いますね。
ぶっさん
ぶっさん
ユーザーの方がたくさん写ってるんですよね、このPVって。
VketのPVだけど、そこで遊んでいる人目線になっていていいなと思いました。
篠田利隆さん
篠田利隆さん
そうですそうです。なんというか、スポンサー企業が凄いぞ、みたいなところを見せてもな…。と思って、あんまりそれを見せても「VRのフェスに行ってみよう」とはならないかな、と思ったんで、ただはしゃいでる人達を映像で繋ぎました。あとやっぱり、フェス感というか遊びに行って、そこで知り合って、色々アバターの事や趣味の話をするうちにどんどん友達が増えていくという、コミュニケーションの文化みたいな部分がやはり一番魅力なのかなと思うんで、あのビデオはなるべくそういう事を当時描きたいなと思った感じです。自分がVket3に行って楽しいと思ったことをビデオにしようと思って作りました。
ぶっさん
ぶっさん
やはり本当に、ユーザー目線という部分が大事かなと思いますね。
篠田利隆さん
篠田利隆さん
僕はオタクカルチャーの分野での仕事をすることが多くて、例えば地下アイドルなんかが人気が出てきて大手レーベルが入ってきて、いきなり楽曲を変えたりするとめっちゃ炎上したりして、そのあとどんなにお金の力を使っても流行らなかったりするんですよね。やっぱりファンの方々と積み上げてきたコンテクストというか、そこを忘れずにメジャーな事をしないといけないのかなと。僕、もともと広告業界の人間なんで、アニメの仕事とかゲームの相談が来ると、「一般ユーザー向けにしたいんです」って相談されるんですよね。でも一般ユーザー向けの広告なんて打ってもそのアニメとかゲームの魅力は絶対広がらないと思うんです。やっぱりコアファンの人が「凄い好き!」って言ってくれたりするわけじゃないですか。SNSで。なのでコアファンがまず好きって思えるものを、ちゃんと一般ユーザーにも届くようにしないといけないのかなと。まあ、コアファンが凄い好きって言ってる風景を一般ユーザーに見せるのが一番いいと思うんですが。ちゃんと面白いと思ってくれてる人達の声を届ける方が、やっぱりVR機器も売れるのかもしれないし、VR自体も盛り上がっていくんじゃないかなって、凄く思いました。

 

マスメディアへの露出とカルチャーについて

タカオミさん
タカオミさん
もしかすると波紋を生むかもしれないんですが、最近結構メタバースって文脈で、ソーシャルVRやVRコンテンツがマスメディアに取り上げられるじゃないですか。それはもちろん凄まじいチャンスだと思うんですが、ただ、例えば「お砂糖」という文化ついて、僕は素晴らしいし美しいと感じてるんですが、VRに対するリテラシーのない人達がそれを見た時にどういう印象を抱くのかは考えないといけないと思っていて。マスメディアが面白おかしく取り上げそうな、ちょっと独特な文化を表面的に発信することが、果たして既存のVRユーザーのパブリックイメージを高める行為なのか、と思うんですよね。もちろんマスメディアにそういった期待をするのは間違っているので、取材される側の人が、自分の発信がVRChatユーザーのイメージアップに寄与しているかどうかの自覚をもってやらないといけないな、という気はしています。VRの魅力に関しても、一般の方々にも「確かに面白そうだよね」と思ってもらえるような形で発信すべきだなって感じますね。
ぶっさん
ぶっさん
本当にそう思います。「理解してもらいやすい感動ポイント」をわかりやすく伝えるというか。
タカオミさん
タカオミさん
そうそう。最終的に見る人たちがどう感じるかという部分をちゃんと考えて発信しないと、逆効果になる場合もあるかもしれないと思うんです。
篠田利隆さん
篠田利隆さん
結構難しいですよね。VRがオタクカルチャーかどうかは一旦置いておいて、僕とかだと、地下アイドルのお仕事も多くやっていて、やっぱり深夜番組で一番取り上げられやすいのは「オタ芸」だったり。やっぱりそっちのカルチャーって、マニアックな面が面白いところではあるんですが、かなりエクストリームな感覚を持ってる人が多いから…。そこが自由だからこそ楽しいんですが、そういう人が多い分、どうしてもマニアックな面にスポットが当たりがち、というか。逆に言うと当たってもいいのかな、とは思うし、難しいところですけどね。僕はどちらかというと、アニメとかオタクカルチャー全般の仕事をやってて、、自分もキモい部分があり、キモいものを作ってる自覚もあり、しょうがないかなと思う部分もあるんですが、僕らの世代だとずっと隠れながら楽しまないと本当に”危ない人”扱いされたような時代もありましたし…。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
ありましたねぇ〜そんな時代が。
篠田利隆さん
篠田利隆さん
でも、その作品のクオリティが知られた瞬間があるわけじゃないですか。涼宮ハルヒの憂鬱だったり、けいおん!だったり、まどマギだったり、そういった作品のクオリティが知られた事で今だと鬼滅の刃だったりに繋がってるんじゃないかなとも思うし、色んなものを飛び越えた素晴らしさがあるという部分を伝える事が出来れば良いんでしょうね。
タカオミさん
タカオミさん
そうですね、クリエイターさんだったり、中にいる人は突き抜けてもらった方がおもしろいものが出来ると思いますし、深淵のような深いものがないとおもしろくないので、それもとても大事ですよね。とはいえ、いきなりそれを見せても理解できないかもしれないし、「なぜそれがおもしろいのか」というところまでしっかりと発信できたらいいのかなと思います。
ぶっさん
ぶっさん
視聴者の方からのコメントで、テレビCMでVRプラットフォームが取上げられたらどうなるんだろう、というコメントや、今「マツコ会議」でVRが取り上げられていて、VR始める人が増えそう!というコメントを頂いています。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
これ、僕ちょっと思うのは、今色々テレビでVRの話題が取り上げられてますが、まだ少しテレビに出るには早かったんじゃないかなと思ってまして。テレビとかの超マスメディアって、カルチャーやコミュニティとして出来上がっていくものに対して、あんまり早すぎる時期にテレビ取上げがバーンと来ちゃうと、理解されにくいまま過ぎてしまって、2回目が来ないんですね。1回しかないんですよ。絶対2回目は面白がってくれないから。そこでこう、ディザスターというか災害みたいに、バーッと来てバーッと去って何も残らない…みたいな。セカンドライフが割とそれに近い感じだったかなと。ただあの時に比べてVRChatはコミュニティが出来上がってきてるから、そこよりは早くないんだけど、ちょっといきなりすぎたかなと。2022年1月に入ってから急にテレビに取り上げられる場面が増えたじゃないですか。先ほど篠田さんがおっしゃった、コミックマーケットくらい完成している状態でハルヒやまどマギが来て、一般層が入ってきて、という流れはちょうど良いんですが、あれが90年代だったらまだ早かったんじゃないかなと。
篠田利隆さん
篠田利隆さん
きっとそうですね〜。
タカオミさん
タカオミさん
そういう意味では、VR機器の金額がハードルになっているのはまだ良かったのかもしれないですね。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
そうかもしれないですね!
篠田利隆さん
篠田利隆さん
うん、そうかもしれないですね〜。
僕らは元々自分で体感して面白いと思ってVRChatをやっていますが、マスメディアで話だけ聞いてパッと入ってしまうと、VRChatって結構マニアックな部分もあると思うので、「どう遊んだらいいかわからん」という状態になってしまうのかなと。そうなってしまうと、あまり「盛り上がる」という意味では良くないのかもしれないですね。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
あとは、VRChatとかclusterもそうだと思うんですが、入って5分で簡単に理解できて「凄い!」となるようなコンテンツがないと思うんですね。
篠田利隆さん
篠田利隆さん
なかなか難しいですよね。
あと面白いところとして、入るのにハードルがめちゃ高かったりするじゃないですか?そこも魅力だと僕は思ってるんですが、Discordやってないと入り方がわからなかったりとか、この部分は良し悪しだと思っていて。カルチャーが育っていく、という事もあると思うので。すべてが分かりやすい必要はないと思うんですが、今おっしゃられたように、ぱっと入ってすぐに面白い体験に出会えるかどうかは分からないかなと。

ファーストインプレッションをどう見せるか

タカオミさん
タカオミさん
それでいうと、僕は岸上さんにお聞きしてみたい事があって、プロモーションでの期待値のデザインとか、ファーストインプレッションの感動って、ゲームで大事な要素になると思うんですが、そこってどうやって作られてますか?僕もVRChatとかで人を案内するときに悩むところなんですよね。
岸上健人さん
岸上健人さん
そうですね、そこは難しいとではありますが、実は結構色んな研究をしてまして、例えば日本のゲームとアメリカのゲームのPVのファーストインプレッションの見せ方ってまあまあ違うという事がわかっていて。アメリカの場合、だいたい尻上がりな盛り上げ方をするんですが、日本の場合は真ん中ぐらいに盛り上がる部分があって、下がっていくというか。MyDearestの作品でいくと、今まではどうキャラクターと触れ合うか、という部分が多かったんですが、新作はゲームとしての世界観をどう見せるか、そこでどう世界観を通してストーリーを体感させるかが大切なのかな、と思ってますね。VR空間で世界観に入り込んで色んな事が出来る、という部分が凄く重要だと思っているので、そういった点をどんどん押し出していくべきかな、と思っています。RPGとかってPVでやたらMAPを見せるじゃないですか。謎に広大なMAPを映しがち、みたいな。あれのVR版みたいな概念は必要なのかなと思っていて、試行錯誤をしながら考えてます。「RPGだとなんであんなにMAPを映し出すのか概念」みたいな。
タカオミさん
タカオミさん
なるほどな〜!
ぶっさん
ぶっさん
印象に強く残っているPVがあるんですが、バイオハザードのVR版のPVって凄くなかったですか?ゾンビがどんどん迫ってきて、一人称視点でそれを倒して、次の瞬間ゲームを遊んでいる自分の姿が映し出されるという展開が魅力的でした。

タカオミさん
タカオミさん
あれカッコよかったですよね!
岸上健人さん
岸上健人さん
あれ、良いPVでしたよね、本当に。たしかあれは日本限定版なんですよね。アメリカはもう少し大人しかったんですよね。なんで全世界で流さないんだとうって皆がコメントしてましたけど(笑)ちなみに、ZENITHというVRMMORPGが日本時間の1月28日にサービス開始されるんですが、あのPVがとても良くて、体験訴求だなと感じました。あれは見てて「なるほどな~!」と思いましたね。

ぶっさん
ぶっさん
ちなみに僕もつい最近ZENITHの関連のツイートをしたらかなり反応があって、みんなVRMMORPGがやりたいんだな、と思いました。
タカオミさん
タカオミさん
やっぱりソードアートオンラインなんだよな~。
和蓮和尚さん
和蓮和尚さん
みんなSAO好きですよね。僕も1月にナーブギア型のVRヘッドセットを見つけたぞってツイートしたら、2400RTぐらいされて。皆好きだな〜と思いました。

 

 

VRを普及させるためにやるべきことは?

VR機器は現実的にはやはりまだ高いと感じる人が多い様子です。しかしながらそれはコンテンツや体験のイメージがしにくい、という事が踏み込めない一因となっているのかもしれません。普及させたいと持っている側の人としては、コンテンツの魅力、体験の魅力をひたすら発信していく事で、より普及していくことに繋がるのかと思います。それは感想をツイートするだけでも良いし、スクリーンショットを投稿するだけでも効果はありそうです。動画を撮って投稿すればより伝わりやすいかもしれません。ただ、マスメディアへの露出などは、それを見る一般の方がどう思うかを考えた発信を心がける必要がありそうです。
この記事を書いている僕が願う事は、VR機器を被って遊ぶことが当たり前となり、多くの方がVRでの体験を”普通に”楽しむ未来です。この記事を読んで、まだVRの魅力を知らない方が1人でも多くVRの魅力に気づいて貰えたら嬉しいと思っています。

 

OculusとMetaについて

この記事を書くにあたってどうしても触れておかなければならない話題があります。
VR機器に興味がある、買いたい!と思っている方、まだよくわからないけど情報収集をしている方、そんな方からすると、どうしても混乱する原因となる出来事が起きました。2020年に発売されてからシェアが急拡大した機種「OculusQuest2」ですが、現在は「MetaQuest2」に名称が変更となっています。今までVR機器の事を「オキュラス」と呼んでいた方も一定数いる程の定着した名前だったのですが、Oculus社を買収したFacebook社が「Meta」に社名変更を行った影響で、Oculusの名称は全てMetaに置き換わる形で姿を消す事となりました。なので、とても紛らわしいのですが、この記事では当時Oculusの名称で販売されていた過去の機種については、そのままOculusの商品名を記載しています。MetaQuest2については「Quest2」とだけ記載するようにしています。パッケージもまだOculusの名称のまま出回っているため、しばらくはQuest2、と呼んであげる事で、色々な方への混乱を少し緩和できるかもしれません。

ちなみに、日ごろからVR機器に親しんでいるユーザーにとっては周知の事実なのですが、そうでない方からすると、Facebook社がMeta社に社名変更した事を知らない方もまだ沢山いるようです。先日僕の友人にinstagramを起動したときの社名ロゴが「Meta」に変わっている事を教えたらとても驚かれたのですが、「Facebookどうしちゃったの!?」と驚く様子を見て逆に僕が驚きました。これから僕たちVRユーザーが少しでも多く情報発信をすることで、そういった方にもVRの魅力や楽しさを知ってもらえる日が来るといいな、と思います。

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クリエイターズスペースの影響

クリエイターズスペース12thを聴いて下さった方々の反応や、影響について少し追記してみました!(写真やツイートは掲載許可を頂いています)

Quest2を購入した方がいました!

なんと、スペースの配信を聴いてQuest2を購入した方が居ました…!
同じく配信を聴いている方から祝福のリプライも集まっている様子です。「一人でも多くの方にVRの楽しさを伝えたい」という想いでこのトークイベントを行ったので、それが届いて実際に購入に至ったというのは流石に嬉しかったです…!

 

VR飲みが開かれました!

VR飲み2022


クリエイターズスペース12thを聴いた方から「VR飲みをやってみたいので良かったら来てみませんか?」というお誘いを頂き、VRChatにて開催されたVR飲みに参加しました!
VRChatはほとんど初めて、という方も多かったのですが、満場一致で、「VR飲みは楽しい!」という声を頂きました。

 

この記事を書いた人


BUSSAN(ぶっさん)といいます!2020年にVRChatと出会い、現在はイラスト・デザイン・写真・動画・ブログなど、物づくりをしながら、Twitterスペースやイベントを主催しています。VRChat内ではClub_lJUS(クラブジュース)という音楽イベントの広報スタッフをしています。気軽にTwitterで絡めるので、お気軽にリプやDMを送ってみて頂けると喜びます!

 

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